このサイトではBlenderやMaxwell Renderの使い方を初めての方でも分かり易いように解説したチュートリアルと藤堂+の作品やCGに関連した参考書、Webサイト、CG(VFX)を使った動画を紹介しています。

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Maxwell Renderチュートリアル

6.簡単なマテリアル設定

次にモデルにマテリアルを設定する方法を解説します。Maxwell Renderは物理的に光をシュミレートするため、普通の3DCGソフトに見られるマテリアルの設定とは異なるパラメータで設定を行います。つまり、普通の3DCGソフトの場合はDiffuse Color、Specular Color、Reflection等の設定が必要になりますが、Maxwellの場合は表面の粗さ(Roughness)と正面から見たときの色、90°方向側の色、表面特性を表したNd値などで設定をします(Specular等の設定はありません)。例えば、Roughnessが大きいと、それだけ光が粗い表面により乱反射されるため、Specularのようなものは発生しません。一方、 Roughnessが小さいと表面はツルツルになるので金属のようにSpecularが発生するといった具合です (補足;光沢はRoughnessの他にNd値にも依存します)。ここでは簡単なマテリアル設定を解説します。より複雑な設定については後で解説していきます。


Materialの設定1

まず、準備として前章で使ったシーンのObjectsリストからspot1~spot3を削除します。Materialsリストからもspotに適用していたIESが設定されたemitterを削除しておきましょう。一番左のmonkey1からに青色で異なる表面特性のマテリアルを設定していきます。Materialsリスト上で右クリックし、「New Material」を選択することで新しいマテリアルが作成されます。Material Editorに移り、「Reflectance 0」の横のカラーボックスをクリックします。そして、右側のColor Pickerで色を指定します。ここではRGB(0.0.240)にします。
なお、Reflectance 0の値に完全な白(255,255,255)や、完全に青(0,0,255)など純粋な色になる設定は避けた方がいいです。これらは現実世界には存在しない色なのでノイズの原因になったります。ただし、Reflectance 90など他の色指定の部分はこの限りではありません。
次に矢印が回転しているアイコンをクリックすると、現在のマテリアル設定でどんなレンダリング結果になるかプレビューを見ることができます。マテリアルのプレビューエリアでダブルクリックしても同様にプレビューを更新することができます。このマテリアル設定は「Roughness」が100なのでLambertと呼ばれる完全にマットな表面のマテリアルとなります。

Materialの設定2

次に別のマテリアルを新規作成し、今度はReflectance 0をRGB(0,0,240)、Reflectance 90をRGB(240,0,0)に設定します。そして、Roughnessを60に設定します。これは90°方向からの色を設定し、Roughnessを下げることで90°方向の色が現れてきます。



Materialの設定3

次のマテリアルはReflectance 0をRGB(0,0,240)、Roughnessを1にし、Ndを10に設定します。これはRoughnessが非常に小さいので表面が鏡面状になります。NdとはIndex Of Refraction(IOR)、つまり屈折率のことです。この設定は物体の反射具合に影響が出てきます。Roughness値にも影響を受けますが、高い値だとよりよく反射します。



Materialの設定4

次のマテリアルはReflectance 0をRGB(0,0,240)、TransmittanceをRGB(255,255,255)、Attenuationを1mm、Ndを3、Roughnessを5に設定します。Transmittanceは白が完全な透明、黒が完全な不透明になりますが、他のパラメータの影響を受けます。Attenuationはオブジェクトの内部に光が通過し、その明るさが半分になる距離を意味します。したがって、この値が小さすぎるとTransmittanceで透明に設定しても透明にならなくなります。オブジェクトの大きさから適切な値に設定する必要があります。

Materialの設定5

次のマテリアルはReflectance 0をRGB(0,0,240)、TransmittanceをRGB(255,255,255)、Attenuationを2m、Ndを3、Roughnessを5に設定します。これは先ほどのものよりAttenuationが大きくなっているので、より透明になります。
作成したマテリアルをmonkeyの左から順に適用し、レンダリングしてみましょう。以下のようになったはずです。設定内容とレンダリング結果を確認しましょう。



レンダリング結果

上図のシーンデータは以下よりダウンロードできます。


シーンファイルのダウンロードはこちら