このサイトではBlenderやMaxwell Renderの使い方を初めての方でも分かり易いように解説したチュートリアルと藤堂+の作品やCGに関連した参考書、Webサイト、CG(VFX)を使った動画を紹介しています。

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Maxwell Renderチュートリアル

18.Environmentの設定

Environmentによりシーンを照らす方法について解説します。Environmentには3種類あります。Sky Dome、Physical Sky、IBLです。Sky Domeはすでに使用していますが、順に解説していきます。以下よりここで使うシーンデータをダウンロードしてください。


Environment解説用シーンデータのダウンロード
まず5つのマテリアルを以下のように作成し、monkey1から順に適用します。全てのマテリアルのReflectance 0は青色RGB(0,0,240)です。monkey1にはRoughnessが0でもっとも反射するマテリアルを設定、monkey2にはRoughnessが10で少し反射が鈍った感じのマテリアルを、monkey3にはRoughnessが20で更に鈍ったもの、monkey4、monkey5には更にという具合に表面がマットなっていくようになります。



monkey1のマテリアル設定 monkey2のマテリアル設定 monkey3のマテリアル設定 monkey4のマテリアル設定 monkey5のマテリアル設定

次にEnvironmentパネルでTypeから「Sky Dome」を選択します。ColorはRGB(255,254,225)にします。これは空から照らされる光の色です。Intensityは1000cd/m2に設定します。なお、SunというチェックボックスはオンにするとPhysical Sunで設定した太陽を表示します。Physical Skyは後で解説しますが、これによりSky Dome上にも太陽光による影を落とすことができます。


Sky Domeの設定

では、レンダリングしてみましょう。Multilight上ではEnvironmentというスライダがSky Domeの設定になります。


Sky Domeによるレンダリング結果

次にPhysical Skyを解説します。EnvironmentパネルのTypeを「Physical Sky」に設定します。Cityでは「Japan」→「Tokyo」を選択すると、緯度経度情報が東京に設定され、GMT(世界時)との時差も自動に設定されます(東京はGMT+9時間)。日時は下図の通りにします。Phisical Skyは日時により太陽光の色、強さが変化します。Ground Rotationはシーンの北方向がどの方向に向いているかを設定するものです。ここでは100に設定しました。なお、CityのプリセットはMaxwell Renderのインストールフォルダにある”cities.txt"ファイルに記録されているので、このファイルにいくらでも新しい場所を追加することができます。なお、Viewport上で「K」キーを押すとEnvironmentパネルで設定した内容のプレビューをViewport上で確認できます。


Physical Skyのロケーション設定

なお、Environmentパネルの下の方にある地球儀上でもマウスで左ボタンドラッグすることで位置を変更するができます。


GPSによるロケーション設定

ではレンダリングします。今の設定では明るすぎると思うので、Multilightのスライダを調整して太陽光の強さを調整して下さい。いろんな空が表現できることが分かると思います。


Phisical Skyのレンダリング結果

次に夕焼けのシーンにしてみます。Environmentパネルの時刻を16:00に変更してレンダリングしてみてください。ここでもMultilightで適宜調整してみて下さい。


夕日のシーンのレンダリング結果

EnvironmentパネルではAtmosphereという部分で大気成分を調整することができます。これにより大気と大気中を通過する光との干渉が変化し、空の発色を変更することができます。ここでは解説のために時刻を12:00に戻します。また、カメラ設定でShutterを200、ISOを100にします。このレンダリング結果は以下の左側の画像の通りです。次にTurbidity Coefを0.7にします。これは大気中の粒子量を設定するもので、粒子が多いほど光は衝突を起こし拡散され、この結果は曇り空のようになりました(2つ目の画像)。今度はTubidity Coefを元の0.04に戻し、Wavelength Expを20に変更します。これは大気中の粒子の平均的な大きさを設定するもので、値が大きくなると空が黄色、緑色へと変わっていきます(3つ目)。次にWavelength Expをデフォルトの1.2に戻し、Ozoneを4cmにします。これは大気中のオゾンガスの量を意味し、値が大きくなると全体的に青色が強くなっていきます(4つ目)。次は時刻を16:20にし、Waterを30にします。これは大気中の水蒸気の値で日の出、日の入り時刻の空に影響を与えます。値が大きいと空は夕焼けのようになります(5つ目)。


お昼の晴れた空のシーン 夕焼け空のシーン 黄色がかった空のシーン 黄色がかった空のシーン 夕焼け空のシーン

さて、次はIBL(Image Based Lighting)です。これはシーンを包むような球体を考えたとき、その球体に貼り付けられたテクスチャの情報をライトとして使うもので、一般にHDR画像を用います。これにより、よりリアルな感じになります。なお、HDR画像は円形のではなく横長のものを使います。では、EnvironmentパネルのTypeを「IBL」に変更します。そして、BackgroundプロパティのMapにテクスチャを読み込みます。テクスチャはMaxwellのインストールフォルダにHDRIフォルダがあるので、その中から”dh216.hdr”を使います。Backgroundは背景部分にしか表示されないのでライティングには関係ないですが、このBackgroundパネルに「Apply To All」というボタンを押すと、読み込んだテクスチャが他のプロパティ(Reflection、Refraction、Illumination)にも一度に適用されるので便利です。今回のテクスチャはちょっと粗いのでEnvironmentパネル上部にあるInterpolationにチェックを入れて、テクスチャにスムージングをかけます。設定は以下のようになったはずです。レンダリングした結果は以下の通りです。ISOやShutterは適宜調整して下さい。


IBLの設定 IBLによるライティングのレンダリング結果

もう1つHDR画像を変更してみましょう。今度は"skiesv2_01.hdr"を使ったときのレンダリング結果です。


IBLによるライティングのレンダリング結果2

最後にEnvironmentパネルの上部にある「Use for Disable」とはBackground、Reflection、Refraction、Illuminationの中で「Disable」にチェックを入れた部分に対して何もしないのか、Sky Domeの設定を使うのか、Physical Skyの設定を使うのかを設定するものです。


シーンデータのダウンロード